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定価価格 572000円(税込)
ここからはネットからコピーした説明になります。
無線通信の構成
1992 年2 月に運用が開始された『海上における遭難及び安全に関する世界的な制度』であるGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System) とは、船舶がどこの海域で遭難したとしても、その発信する遭難警報がいかなる時でも陸上の救助機関や付近を航行する船舶に確実に受信され、陸上の救助機関と船舶とが一体となった通信網の中で効果的な救助活動を行うことを可能にする無線通信システムです。
GMDSSは、海上における遭難及び人の安全に関する通信のみならず、船舶の効率的な運行管理、公衆通信等の確立に重要な役割を果たしています。
通信の概略
船舶から送信された避難警報は、超短波帯、中短波帯または短波帯の周波数を使用するデジタル選択呼出装置(DSC)、無線及び狭帯域直接印刷通信(NBDP) により、陸上に設置した海岸局、海岸地球局、地域利用設備(LUT:ローカルユーザー端末) で受信され、業務管理センター(MCC:海上保安庁) 等を経由して救助調整本部(RCC:管区海上保安部)へ通報されます。
救助調整本部は、この情報を各捜索救助機関及び遭難現場付近を航行する全ての船舶に対して中継します。この遭難通報には、遭難船舶の識別番号及び遭難位置情報を伝達し、さらに遭難の種類並びにその他救助活動に必要な情報が含まれています。
遭難通報の伝達方法は、衛星通信ルート経由と地上通信ルート経由の2 種類があり、遭難現場付近に対してのみ通報が可能な地域に限定して呼び出しをすることができます。呼出対象海域を航行する船舶は、中継された遭難通報を受信した時は、救助協力の為、救助調整本部との通信系を設定します。また衛星イーパブからの遭難通報については、船舶が沈んで自動的に作動して伝達する場合のほかに、手動操作により送信できます。
捜索救助調整通信は、救助調整本部と遭難海域近傍を航行中の捜索救助に協力している船舶や航空機の現場指揮者または捜索救助協力者との間で情報交換を行うことです。現場通信は、遭難安全通信周波数を使用して遭難船舶と救助側との間で行うもので、救助の準備や生存者の救助に関する通信です。
位置指示信号は、遭難した船舶または生存者の位置の発見を容易にするための送信信号で、捜索救助用レーダートランスポンダ(SART) が使用されます。これは、救助船等のレーダーから発射された電波に応答してレーダー電波を送信し、救助船等のレーダー画面上に遭難位置が表示させる装置です。また衛星イーパブ(EPIRB) は、406 MHz の電波をコスパス衛星経由で陸上の海岸地球局に対し発信します。衛星イーパブは、121.5 MHz の電波を航空機用ホーミング用として発信します。
船橋対船橋通信は、遭難現場において円滑な救助活動が行えるよう、遭難船と生存艇ならびに救助船と生存艇との間の通信を行うもので、双方向無線が使用されます。
無線通信の構成
地上系無線通信
船舶と陸上または船舶相互間における無線通信は、超短波帯、中短波帯および短波帯の周波数を使用する無線通信が主です。GMDSS では、船舶が航行する海域をA1 海域からA4 海域までの4 つの海域に分け、その航行する海域応じて必要な無線設備の設置を義務付けています。
通信海域
近距離海域
沿岸から30 海里程度の海域(A1 海域相当) 内では、超短波帯の周波数を利用するデジタル選択呼出装置(DSC) 及び無線により、一般通信及び遭難・安全通信、捜索救助活動並びに現場活動の通信が行われます。
中距離海域
沿岸から150 海里程度の海域(A2 海域相当) 内においては、中短波帯の周波数によるDSC、無線及び狭帯域直接印刷電信(NBDP) により、一般通信及び遭難・安全通信、捜索救助活動並びに現場活動の通信が行われます。
遠距離通信海域
遠洋海域内にある船舶においては、地上系の無線通信は短波帯のDSC、無線及びNBDP により一般通信及び遭難・安全通信、捜索救助活動のための通信が行われます。短波帯による通信は、とりわけインマルサット衛星の通信圏(A3海域相当)を超える海域(A4海域相当)を航行する船舶にとって重要な無線通信手段です。
海上安全情報の放送
海難事故を未然に防止し、または最小限に止めるために必要な航行警報、気象警報および緊急を要する通報等の海上安全情報(MSI) は、英語ナブテックス(518 kHz) または日本語ナブテックス(424 kHz) により、船舶に向けて提供されています。また、海上安全情報を構成する航行情報、捜索救助情報および気象情報からなる海上安全情報は、MSI 調整機関からナブテックス海岸局を介して各船舶局向けに通報されます。
衛星系無線通信
通信海域
インマルサット衛星通信は、1.5 GHz/1.6 GHz の周波数帯により、局地域を除き世界的に常時通信可能なシステムで、無線、ファクシミリ、データ通信が利用可能です。コスパス・サーサットシステムは、121.5 MHzおよび406 MHzの衛星EPIRBを使用する捜索救助通信システムです。システムは、数個の低高度の約850kmの極軌道周回衛星を使用します。
遭難通信
インマルサット船舶地球局の無線設備
インマルサットB 型、C 型およびF 型では、船舶から陸上に向けて遭難情報を発信することができます。
406 MHz 衛星EPIRB
406 MHz 衛星EPIRB による遭難警報は、コスパス・サーサット極軌道周回衛星で中継され、陸上の受信局(LUT)を経由して救助調整本部へ通報されます。遭難信号により遭難船舶の位置が測定されます。
捜索救助情報
船舶の航行に必要な海上安全情報である航行警報、気象警報は、インマルサット高機能グループ呼出受信機(EGC:インマルサットC型設備に内蔵されています) により提供されます。陸上から他の船舶に向けた遭難警報(中継)も、インマルサット衛星を経由して特定の海域内にある船舶または全ての船舶に向けて通報されます。
遭難救助通信
船舶と陸上または船舶相互間における無線通信は、超短波帯、中短波帯および短波帯の周波数を使用する無線通信が主です。GMDSS では、船舶が航行する海域をA1 海域からA4 海域までの4 つの海域に分け、その航行する海域応じて必要な無線設備の設置を義務付けています。
船舶から陸上への遭難警報は、衛星EPIRB またはインマルサットC船舶地球局から発信され、海岸地球局または地域利用設備(LUT)を経由し、地上系では、海岸局を経由して、救助調整本部(RCC) に通報されます。
陸上から船舶へ向けての遭難警報は(中継) は、RCCから特定の海域内にある船舶、特定の船舶または全ての船舶に対し、DSCまたは無線またはNBDPのほか、ナブテックスおよびインマルサットEGCにより通報されます。
船舶相互間の遭難警報は、VHF帯およびMHF帯のDSCまたは無線によって、遭難船舶の付近を航行中の船舶に対して通報されます。
捜索救助活動の指揮に責任あるRCCは、遭難通信を指揮し、その通信に混信を与える通信を排除するなど、良好な通信の確保に努めます。
遭難船舶と救助船舶、捜索船舶と捜索航空機との間または捜索航空機と現場指揮、船との間の現場通信は現場指揮者の指揮下で行われます。
遭難船舶、生存艇の位置発見を援助するための通信は、9GHz帯の捜索救助用レーダートランスポンダにより行われます。最近は、AISを利用したレーダートランスポンダも利用できるようになりました。